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夢を売る




山間部、温泉街のヘソにあるストリップ劇場。
本日の出演は「ラテンの魅力にメーロメロ」
"ブラジルから来たニーナちゃん"

本番前、遠くにはカーテン越しに楽屋が見える。
その中にいるのはニーナちゃん。どう見てもおばさん。
本番前のリラックス。ショートホープを一本吸引。
プッカ〜〜。
「ちょっと待てよ、ブラジルから来てショッポはねーだろ.....」
この時点で頭の中で全てが判明。

ニーナちゃんは「来た」のではなく「来ていた」のだ。
よく考えれば当然の話だが。
もうすでに結構な時間を日本で過ごしている。
きっと何らかの事情で日本の辺鄙な山奥へやって来て、
ストリップ劇場の社長に気に入られ、住み込みで寝床をもらい、
今ではチャーハンと餃子が大好物。
1日2部制の演目を「ラテンの魅力」という夢の道具を使って実直にこなし、
それほど多くはない給料を貰ってふるさとへ送る。

と、勝手な想像。だが、それほどハズレてはいないはず。


渋谷大型CDショップの終焉。
夢を売る場所がまたひとつ無くなる。

ひと昔前、アーティストは夢の中の住人。
今はみんなと同じ、ネットの中の住人。
線を辿ればそこにいる。
ビジュアルイメージという大手レコード会社と共に作った箱庭は
もはや砂の城か。

生活の延長線上に音楽がある。とは師の言葉。
もう何も隠さずささやかな夢を売る。
良くも悪くも現実的に....


あの山奥のストリップ劇場、風情があった。
また行きたい。
ニーナおばさんはまだいるのだろうか?